LLM APIの使い方:トークン、料金、APIキー、最初のAI機能
LLM APIは、アプリから大規模言語モデルへテキストを送り、その返答をコードで受け取れるようにするWebサービスです。モデルには、OpenAIのGPTモデル、AnthropicのClaude、GoogleのGeminiなどがあります。プロバイダーにサインアップしてAPIキーを作成し、アプリのサーバーがそのキーを付けてリクエストを送ります。料金は、入力と出力のトークン(テキストのまとまり)の数に応じて、リクエストごとに請求されます。「アプリにAIを追加する」とは通常、これだけのことを指します。つまり、他社のモデルへの、よく書かれたリクエストを、自分のサーバーから安全に送ることです。
AIで作るときに重要な理由
AIで作ったアプリには、2種類のAIがあり、混同しやすいので注意が必要です。
- アプリを作るAI:アプリビルダーのエージェントで、コードを書きます。
- アプリの中のAI:ユーザーが使う機能で、チャットアシスタント、「要約する」ボタン、自動タグ付けなどです。
後者は、あなたのキーを使ってLLM APIを呼び出し、あなたのプロバイダーのアカウントに請求されます。トークン、コンテキスト、料金を理解していれば、うまく動き、キーが漏れず、請求額に驚かされることのない機能を設計できます。
身近なたとえ:とても優秀なフリーランサー、文字数で支払う
LLM APIを、メールで依頼でき、送った言葉と返ってきた言葉の両方に対して文字数で支払う、とても優秀なフリーランスのライターのように考えてみてください。返ってくる言葉の方が高くつきます。
- メール同士の記憶はありません。 会話を続けてほしい場合は、新しいメールのたびに、以前のメッセージを貼り付けます。
- 一度に読める量には限りがあります。 その上限がコンテキストウィンドウです。
- 依頼が明確なほど、答えは良くて短くなります。 それは、料金を抑えることにもつながります。
中心となる概念
トークン
モデルはテキストをトークン単位で読み書きします。Anthropicの料金ドキュメントでは、2026年9月時点で、1トークンはおよそ4文字、英単語のおよそ0.75語と見積もられています。モデルや言語によってトークンの分け方は異なるので、これは大まかな目安として扱ってください。指示、ユーザーのメッセージ、含めた文書、それまでの会話、返答など、すべてが数えられます。
入力と出力
入力トークンは送るもの、出力トークンはモデルが書くものです。2026年9月時点で、OpenAI、Anthropic、Googleの料金ページによると、同じモデルでも出力トークンは入力トークンの数倍の料金になります。Geminiの料金ページでは、モデル内部の「思考」も出力として数えられると注記されています。
コンテキストウィンドウ
返答を含めて、モデルが1回のリクエストで受け取れるトークンの最大数です。最近のモデルは非常に長い入力を受け付けます。例えばAnthropicの最新モデルの一部は、100万トークンまで受け付けます。ただし、長い入力は料金が高くなり、時間もかかるので、タスクに必要な分だけ送ってください。
ステートレスなリクエスト
チャット形式のAPIのほとんどでは、各リクエストは既定では独立しています。チャットに「記憶」を持たせるには、アプリが新しいメッセージを送るたびに、以前のメッセージも一緒に送り直します。長い会話の1メッセージあたりの料金が、短い会話より高くなるのはそのためです。
システムプロンプト
すべてのリクエストで、モデルの役割とルールを定める指示です。例:「サポートチケットを3つの箇条書きで要約してください。顧客のメールアドレスは決して含めないでください。」ユーザーからは見えませんが、すべての返答を形づくります。
ストリーミング
答えの全体を待つ代わりに、APIは生成されたテキストを順次送れるので、ユーザーは言葉がすぐに現れるのを見られます。チャット画面がずっと速く感じられるようになります。
料金の仕組み
2026年9月時点で、各プロバイダーの料金ページを確認したものです。
| 料金の要素 | OpenAI | Anthropic | Google(Gemini API) |
|---|---|---|---|
| 単位 | 100万トークンあたり | 100万トークンあたり | 100万トークンあたり |
| 入力と出力 | 別料金。出力の方が高い | 別料金。出力の方が高い | 別料金。出力の方が高い |
| 再利用される(キャッシュされた)入力 | 割引あり | キャッシュ読み取りは割引。キャッシュへの書き込みは少し高い | 割引あり。保存料金が別途かかる |
| バッチ(急ぎでないリクエスト) | 50%オフ | 50%オフ | 50%オフ |
プロバイダーの中には、支払う前に試せる仕組みを用意しているところもあります。Anthropicは新規ユーザーに少額の無料クレジットを提供しており、GoogleのGemini APIは一部のモデルで無料枠があります。ただし、無料枠で送信された内容は、Googleのプロダクト改善に使われる可能性がある点に注意してください。
プロバイダーの小型で高速なモデルと、最大のモデルとでは料金が大きく異なり、料金は頻繁に変わるので、ここでは価格を載せていません。どの機能についても、簡単な見積もりは次のとおりです。(入力トークン数 × 入力単価 + 出力トークン数 × 出力単価)× 月間のリクエスト数。そこに余裕を加えたうえで、プロバイダーのダッシュボードで月ごとの支出の上限を設定してください。
具体例:「チケットを要約する」ボタン
ある小さなサポートチームが、長い顧客メールのやり取りを3つの箇条書きと、返信案にまとめるボタンを求めています。
- キーを取得する。 1つのプロバイダーでアカウントを作成し、APIキーを発行します。月の支出の上限は低く設定してください。
- キーを秘密情報として保存する。
ANTHROPIC_API_KEYやOPENAI_API_KEYのような名前で、サーバー側に保存します。ページのコードには決して入れないでください。詳しくは環境変数と秘密情報をご覧ください。 - サーバーのルートを追加する。
POST /api/summariseで、次の処理を行います。- ログインしている人がサポートチームに所属しているかを確認する。
- データベースからチケットを読み込む。
- プロバイダーに、システムプロンプト(「3つの箇条書きで要約し、次に丁寧な返信の下書きを作る。注文番号を作り出さない」)とチケットの本文を送る。
- 最大出力トークン数の設定で、返答の長さを制限する。
- 結果を返し、使ったトークン数を記録する。
- ボタンはプロバイダーではなく、自分のルートを呼び出す。 要約は、ストリーミングで届くのに合わせて表示します。
- 失敗に対応する。 プロバイダーの応答が遅い、またはエラーを返した場合は、「今は要約できませんでした」と表示し、チケットは引き続き使えるようにしておきます。
- 測定する。 1週間後にトークンの記録を確認します。料金の大部分が長いメールのやり取りによるものなら、送る前に引用された過去の履歴を削ってください。
欠けているものにも注目してください。モデルの学習も、特別なインフラも不要です。必要なのは、1つのキー、1つのサーバーのルート、そして明確に書かれた1つのプロンプトだけです。
主な用語
- APIキー: プロバイダーにアカウントを識別させる秘密の文字列です。持っている人は誰でもあなたのお金を使えます。
- モデル: 呼び出す特定のLLMです。プロバイダーは、料金と速度の異なる複数のサイズを提供しています。
- temperature(温度): 返答のばらつき方を決める設定です。低いほど予測しやすくなります。
- 最大トークン数: 返答の長さの上限で、料金の上限にもなります。
- レート制限: アカウントが1分間に使えるリクエスト数やトークン数の上限です。
- 埋め込み(エンベディング): テキストの意味を表す数値で、自分の文書を検索するために使われます。
- RAG(検索拡張生成): 自分のデータから関連する箇所を見つけ、プロンプトに含めることで、モデルが自分のコンテンツに基づいて答えるようにする手法です。
- ツール利用/関数呼び出し: 「注文の状況を調べる」のような特定の関数を、モデルがアプリに実行するよう依頼できる仕組みです。
よくある間違いと誤解
- キーをフロントエンドのコードに入れる。 最も高くつく間違いです。ブラウザのコードは公開されています。必ずサーバーから呼び出してください。AIで作ったアプリの公開前チェックと合わせて、AIで作ったアプリのセキュリティチェックリストもご覧ください。
- 支出の上限やユーザーごとの上限がない。 バグ、無限ループ、悪意のあるユーザーによって、料金はすぐに膨らみます。プロバイダー側で上限を設定し、アプリ側でもユーザーごとのリクエスト数を制限してください。
- 毎回すべてを送る。 文書全体や会話の履歴全体は、入力トークンを何倍にも増やします。削る、古いメッセージを要約する、関連する部分だけを取得する、といった対策をしてください。
- 出力を無条件に信じる。 モデルは誤ったことを自信満々に述べることがあります。事実、価格、法律や医療に関することは、自分のデータに基づかせ、出典を示すか、人が確認してください。
- ユーザーの入力に、自分のルールを上書きさせる。 ユーザーは「指示を無視して」と入力することがあります。権限や重要な操作は、プロンプトだけでなくサーバーのコードで管理してください。
- いきなり最大のモデルを使う。 まずは小型で安価なモデルで試し、品質が必要な場合にだけ上位のモデルに上げてください。
- 個人データを深く考えずに送る。 特に無料枠では、プロバイダーのデータ利用規約を確認し、機能に必要なものだけを送ってください。
AIビルダーに頼む内容
チケットのページに「要約」ボタンを追加してください。ボタンは、サーバーのルートを呼び出します。そのルートは秘密情報の
OPENAI_API_KEYを使い(ブラウザには決して公開しない)、ログインしているユーザーかどうかを確認し、次のシステムプロンプトとともにチケットの本文を送ります:[…]。返答は300トークンに制限し、回答はページにストリーミングで表示してください。呼び出しが失敗した場合は、分かりやすいエラーを表示してください。リクエストごとに使ったトークン数を記録し、各ユーザーが1時間に要約できる回数を30回に制限してください。
チャット機能を丸ごと作りたい場合は、AIチャットボットアプリの作り方をご覧ください。その他のアイデアは、アプリにAI機能を追加する方法にまとめています。APIという概念自体に慣れていない場合は、APIとは何かから始めてください。
Mythexで作るアプリのLLM API
Mythexで作るとき、アプリの中のAIは、あなた自身のプロバイダーのキーを使います。キーはプロジェクトの秘密情報として追加するか、必要になるとMythexがチャットに表示するシークレットのカードから登録し、エージェントにサーバー側で呼び出しを行うよう依頼します。プロバイダーの利用料は、Mythexのビルドクレジットではなく、あなたのプロバイダーのアカウントに請求されます。Mythexは、アプリのユーザー向けのトークンや、内蔵のナレッジベース製品は含めていません。レート制限と料金の管理は、あなた自身が設計してテストする必要があります。ドキュメントの自分のAPIキーでAI機能を追加するには、開始用のプロンプトがあります。AIアプリビルダーのページでは、どこから始めればよいかを紹介しています。
よくある質問
LLM APIとは何ですか?
LLM APIは、OpenAI、Anthropic、Googleなどのプロバイダーが提供するWebサービスです。アプリからテキスト(多くの場合は画像やファイルも)を大規模言語モデルに送り、その返答を受け取れます。料金は利用量に応じてトークン単位で支払い、APIキーで認証します。
LLM APIの料金はいくらですか?
2026年9月時点で、OpenAI、Anthropic、Googleはいずれも主要モデルを100万トークンあたりで料金設定しています。入力と出力は別料金で、出力の方が高くなっています。合計は、モデル、送信するテキストの量、返答の長さによって変わります。各プロバイダーの料金ページを確認し、支出の上限を設定してください。
トークンとは何ですか?
トークンは、モデルが読み書きするテキストのまとまりで、単語の一部であることもよくあります。Anthropicの料金ドキュメントでは、1トークンはおよそ4文字、英単語のおよそ4分の3に相当すると見積もられています。正確な数はモデルや言語によって異なります。
ブラウザからLLM APIを直接呼び出せますか?
秘密のキーを使う場合はおすすめできません。ブラウザのコードに含まれるものは訪問者に読み取られる可能性があり、その人があなたのキーを使って請求額を増やすおそれがあります。ブラウザからは自分のサーバーにリクエストを送り、サーバーがプロバイダーを呼び出すようにしてください。
アプリにAIを追加するために、モデルを学習させる必要がありますか?
ほとんどの場合は必要ありません。多くのAI機能は、APIを通じて既存のモデルを使い、プロンプトで明確な指示を与え、必要に応じてリクエストに自分のデータを含めて動作させます。学習やファインチューニングは後の最適化であり、出発点ではありません。